【感想】疲れた大人にこそおすすめ『西の魔女が死んだ』

どうも、兎本 (@usagibook1) です。

『西の魔女が死んだ』は子どもの頃に「好きな本」を聞かれたときに、まわりの子があげる率が高かった本です。

私は子どもの頃は読書よりもゲームに忙しかったので『西の魔女』はちらっと冒頭を読んだだけで読むのをやめてしまいました。

大人になった今『西の魔女が死んだ』を読んでみると、鳥肌が立つような小説でした。

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変わるひと月あまりを西の魔女のもとで過ごした。

西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、なんでも自分できめる、ということだった。

喜びも希望も、もちろん幸せも……。

『西の魔女が死んだ/梨木香歩』
目次

おばあちゃんの優しさにくるまれる本

まいのおばあちゃんは魔女です。

魔女といっても魔法が使えるだとかそんなファンタジー感あふれるお話ではありません。

おばあちゃん草花に詳しく、生きる知恵をたくさん持っている魔女です。

魔女なおばあちゃんは、まいが「おばあちゃん大好き」と言うと「アイ・ノウ」と返してくれます。

外国人のおばあちゃんの優しい微笑みが目に浮かぶ、この「アイ・ノウ」という言葉が大好きです。

兎本

「好き」と言えることができて、「知ってるよ」「わかってるよ」と返してくれる人がいるってなんて幸せなことなんだろう

おばあちゃんはまいが学校に行かないことを責めません。

まいがひとりで眠れない夜は一緒に眠ってくれます。

私にも大好きなおばあちゃんがいましたが、おばあちゃんにはもう会えません。

「おばあちゃんって、確かな愛情で私をくるんでくれていたよなぁ」と、まいのおばあちゃんの優しさを見るたびに自分のおばあちゃんを思い出して胸が切なくなりました。

「まい」は子どもの頃の私

「グループになじめないな」「学校に行きたくないな」と思ったことのある人なら、『西の魔女が死んだ』を読むと涙が出てくると思います。

私も涙がにじみました。

学校でうまくなじめず、「扱いにくい子」「生きていきにくい子」とまいのことを話す両親の会話を聞いてしまったときのまいの気持ちがよくわかります。

兎本

私も「扱いにくく、生きていきにくい子」であり、そのまま変わることができずに、「扱いにくく、生きていきにく大人」になってしまった人間だから。

単身赴任中のまいのことをパパに電話で話しているママに「ごめんね、ママ」と謝りたかったまいの気持ちが痛いほどにわかります。

「こんな風に生まれてしまって、心配や迷惑ばかりをかけてごめんね」と私も両親にいつも申し訳ない気持ちを持っているから。

『西の魔女が死んだ』は私のような弱い人間に寄り添ってくれる物語だなと感じました。

この一文を読むためだけの小説だったと言っても過言ではない

ニシ ノ マジョ カラ ヒガシ ノ マジョへ

オバアチャン ノ タマシイ、ダッシュツ、セイコウ

『二の魔女が死んだ』/梨木果歩

この一文を読んだときには鳥肌が立って、この本をここまで読んできてよかったという感動がありました。

まいはある事件をきっかけに「死んだらどうなるんだろう」という話をおばあちゃんとしました。

おばあちゃんは「死んだら肉体から解放されて魂になるんじゃないか」と教えてくれて、死んだらまいが怖がらないように魂になれたことを教える約束をしてくれていたんです。

そしておばあちゃんは死んで、くもりガラスにこの文章が指でなぞったように書いてくれました。

死んでも、魂になっても、おばあちゃんはまいを大切にしてくれるんです。

生きてみようかな、と思える本だった

私は現在うつ病治療中で、まいと同じく日常から離れています。

おばあちゃんの台詞に「十分に生きるために死ぬ練習をしている」という言葉がありました。

私は、お葬式は人生の結果発表だと思っています。

誰が泣いてくれるか、誰が面倒だと思いつつも参列してくれるか。どんな式になるのか。

良い死に方をするためにも、今日も十分に生きてみようかと思えた作品でした。

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この記事を書いた人

文章を書くことが好きなアセクシャル。
「文章を書いて生きる」という夢に向かって努力中。
保育士・幼稚園教諭免許あり。

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